カモを楽しむ - 高橋伸夫 |
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寒さがそれほど苦にならないという人には待望の、カモの季節が到来した。冬のカモは美しく、望遠鏡の視野から消えてしまうことも少ない。多様な色彩や模様と特有のスタイルは、いつの世にも万人に愛される要因を備えている。野鳥の観察が趣味になった人、これから始めようとする人には、野鳥観察の楽しさや奥深さを知ってもらうのに、カモの仲間は最適の教科書となるだろう。 カモの観察に最適のシーズンは1月半ばから3月。どの種も最高に美しくなる季節である。池や川、あるいは海岸で間近かに観察できる機会があれば、先ずは典型的な「雄」だけでよい。図鑑を片手に、嘴から尻尾の先、脚の色、それらの色や細かい模様にいたるまで徹底的に観察してみよう。できれば光の当たり方、順光や逆行での色彩変化の面白さを体験してもらいたい。たいていの 種は、図鑑だけで識別が可能である。個々の図鑑の出来や、図鑑で表現できることの限界が理解できるかも知れないし、思わぬ発見があるかも知れない。 この季節、雄に似て完全でないのは1年目の雄である。同じ成鳥雄でも、羽根の艶や長さに差があることがあるが、それは年齢の差であることが考えられる。同じ種では、年齢の多いものほど早い時期から美しくなり、飾り羽根も立派になる。この美しい羽根は繁殖羽であり、他の鳥では夏羽にあたる。カモは雄が直接繁殖にかかわらないため、越冬地での雌の獲得が目的で、この季節に 繁殖羽になるのだといわれている。しかし、秋の飛来直後、非繁殖羽の状態で既にペアを組んでいると思われるものも少なくない。 ![]() 雄の識別ができたら、雌の識別に挑戦してみよう。幸いこの季節には、ほとんどのカモは常に雌雄一緒に行動している。雄と行動を共にしている地味な方を、とりあえず雌と解釈してよいだろう。どの鳥でも同じであるが、「識別」とは先ずこれだと思い込むことから始まる。その後は、「間違い探し」と「共通点探し」の繰り返しだけなのである。大切なことは、判断の誤りに気付いた ときに、とにかく原点に戻ってやり直すことである。 カモの仲間は骨格や体型、嘴の形などに雌雄の差が少ない(クロガモやケワタガモの仲間等の雄には、口元上部に瘤があるものもある)。雄の色彩や、飾り羽根の形、大きさに惑わされないように気を付けて見れば、雌の識別もそれほど困難でないことが解る。どの種も雌雄の共通点は翼鏡(次列風切の色)。雌雄で異なる点、あるいは近似種との共通点は、雨覆の色である。よく似てい るマガモとオカヨシガモの雌も、雄に似た3列風切の形が手掛かりになる。ヒドリガモとヨシガモは、雄と同じ嘴の色で識別できる。シマアジ独特の尻上がりの体型は、馴れればシルエットでコガモと見分けられる。アイサ類の雌は、嘴の微妙な形だけでも識別可能という。細かくメモを取りながら観察されたい。 この地方のカモの行動は、狩猟解禁の11月15日で大きく変化させられる。雄若鳥の飾り羽根が色づき初めるのもこの時期である。来年の秋にはカモのスペシャリストと呼ばれるように冬を待たず、今日からカモの観察を始めたらいかがであろうか。当地の観察適地として、草野池周辺・境川河口(刈谷)、管生川・南公園(岡崎)、七本木池(半田)、矢作古川(西尾・一色)、鳥羽 入江(幡豆)などは比較的近距離で観察できる。 contents | ||